『色街について』


色男、色女、そして色街という言葉も死語になりつつありますが、皆さんはこれらの語から何を連想されますか?

愛、愛情、怨念、怨恨、痴情、破廉恥、色恋沙汰、色情沙汰・・・。

色という語は不思議な言葉です。
単に視覚に飛び込んでくる光の波長や純度から産み出されるのものの差異を表すものの呼称だけではなく、個人の性格や性癖を表す象徴的な意味合いで使われたりもします。

【色】
ものの趣き、愛情・愛情の対象たる人(広辞苑より)

例えば欧米では太陽の色は黄色ですが、日本ではなぜかしら赤を使うことが多いですね。またその黄色は欧米では警告の色で使われますが、アジアでは高貴な色であったり、好色を示すものであったりもします。

日本人は伝統的に白色、つまり何ものにも染められない白を良しとし、色がついているものと区別する伝統があるようです。



それはさておき、色街の色とはいったいなんでしょう。
男女の痴情が昼日中から半ば公認で行われる街というのが直接的な定義なのでしょうが、それを色街とはうまく言い換えた先人の思いつきには感心します。
実際、色街には他の街にはない情けや趣が数多くあるのですから・・・。

【色街】
色里、遊郭、花柳街(広辞苑より)

鳩子は以前から色や匂いがある街が好きで、全国各地に旅行する度にそのような土地を目指してフィールドワークを続けてきたのですが、この度まるで鳩子の思いを具現化するようなとんでもない雑誌が発刊されました。恐らく長くは続かない雑誌ですから、今のうちに書店で買い求めてシナリオ作りの参考にして下さい。(こんな雑誌を出せたこと自体画期的です!)

♪♪銀太郎(ミリオン出版)創刊号♪♪
  一見いかがわしそうな雑誌ですが、実は選りすぐりの執筆者によるかなり真面目?な雑誌です。

【匂い】
色にそまること、はなやかなこと、つやつやしいこと、趣き(広辞苑より)

ということで、今回は以前紹介した今里新地以外の大阪市内の色街をダイジェストに紹介します。詳しくは皆さんがそれぞれ歩いて確かめてみてください。
それにしても大阪はこのような色街が未だ根強く愛されている特殊な地域です。



★飛田新地★
鳩子にとってもっとも印象深いのがこの飛田新地です。



初めて足を踏み入れいたのは今から20年も前くらいですが、その当時は阿倍野の再開発もされておらず、戦後そのままの遊郭と赤線地帯の雰囲気が唯一残っている稀有な地域でした。特に強く覚えているのが、飛田新地を取り巻く東側の高台に間口2m位の怪しい薄暗い赤いランプをつけた店が軒を競うように建ち並び、一度そこに飛び込んだ獲物は決してのがさないようなおどろおどろしい目をしたおばさん(おばあさん)達がてぐすね控えて待っていたことと、新地の中では乳母車押しながらそこで働く女性達に素朴なおせんや駄菓子売る腰の曲がった小さなお婆さんに出会ったことです。

明治や大正時代にタイムスリップをしたかのような鮮烈な思い出が未だに脳裏に焼きついています。
現在は阿倍野再開発により、近隣にはマンションが立ち並び、商店も整備されため、周囲の怪しげな店はなくなってしまいましたが、新地の中は往時の風景を未だ保っています。

女性だけではちょっと訪ねにくい場所ですが、昼間だと通天閣散歩の流れでぶらつくことがもできるでしょうし、もし何人か仲間が集められるのなら、ぜひ夜に「百番」という遊郭の建物をそのまま生かした居酒屋に行ってみてください。



昭和33年に赤線防止法で遊郭が廃業された当時そのままので営業していて、建物の中は自由に探検することが出来ます。緻密なふすま絵や紫の壁、そして精巧なしつらえには圧倒されますヨ。


★松島新地★
地下鉄中央線の九条駅下車すぐにある色街で、やりて婆(客を誘いこむ役目)のしつこい誘いを振り切りながら店の奥に目をやると、そこには目を見張るような若く美しい女性ばかりなのに驚かされます。つまりは他の新地ではもう少し年配者が多いのです。規模はそんなに大きくはなく、建物も建て替えられたものがほとんどですが、色街としての雰囲気は残っています。



★今里新地★
詳しくはロケハン鳩子Vol.1をご覧下さい。

★その他の新地あるいは新地跡★ ご自分で探してみてください。
曽根崎新地(北区)
住吉新地(住之江区・住吉区)
滝井新地(守口市)
信太山(和泉市)
柳町(郡山市)
五条楽園(京都市)

はたして皆さんはこれらの街でどんな色や匂いを感じられるのでしょう?



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