第27回放課後倶楽部 平成17年10月1日(土曜日)
シナリオライターの現場から
「〜花形でない地味な側面〜」
講  師   田嶋 久子 氏 
        シナリオ・センター大阪校出身シナリオライター
日  時   平成17年10月1日(土曜日)16:00〜18:00
田嶋久子先生


  田嶋久子(たじま ひさこ)氏プロフィール
 奈良県出身。大阪の旅行会社で5年間のOL生活の後、シナリオライターを 目指して退社。アルバイトを続けながらコンクール応募を繰り返す。97年、 朝日放送主催「新・部長刑事・アーバンポリス24ストーリーコンクール」 にて『ホームレス刑事!』で優秀賞受賞。98年、日本テレビ主催「シナリ オ登竜門」にて『8月のマリア』で優秀賞受賞。賞金の100万円を手に上京。 同じ頃、「新・部長刑事・アーバンポリス24」に送り続けていたプロット がやっと採用され、第354話「誘拐されたい少年」でデビュー。おもな作 品に、『OLヴィジュアル系2』『G−Taste』『燃えろ!ロボコン』、 アニメ『あたしンち』『ちびまる子ちゃん』、ラジオドラマ『心のいこい』、映画『モリノキオク』、ゲームシナリオ『COMBAT QUEEN』など。

▼コメント▼

 私がシナリオライターを目指して単身上京したのは、30歳のときでした。 初めての土地で初めての一人暮らし。右も左もわからないまま、手探りで プロへの道を模索しました。年齢も年齢ですし、恋人もいなかったので、 もしプロになれなかったら、ニートになるしか道はありませんでした(笑)。
 私にとってシナリオは「夢」ではなく「目標」でした。そんな崖っぷちに いた私も、お陰さまで現在は数本の仕事を請け負い、なんとか原稿料で食べてゆけるようになりました。コンクール入賞で華々しくプロへの足がかりを見出したかのように思われがちですが、実際は仕事が無く、視聴率3%の深夜ドラマや、バラエティ番組、ゲームシナリオ、シナリオ以前のプロットライターやブレーン、ゴーストライターなども経験しました。私の目標はとにかく「好きな仕事で食べてゆくこと」です。番組の看板に「田嶋久子ドラマ」なんてつくような売れっ子になれれば、それはそれで面白い人生だと思いますが、あまりそこに重点はおいていません。それより自分の持っている個性や能力を充分に活かせる現場で、気持ち良く息の長い仕事ができれば幸せだと思っています。講座では、実際に経験したプロの現場での、「作家」と呼ばれる私達の立場と仕事の内容についてお話ししたいと思います。また、現在執筆中の「ちびまる子」ちゃんを題材に、ネタの発案からプロットの作成、数回の直しを経てシナリオを完成させるまでの実践的なお話をしたいと思っています。


講義内容
 大阪校出身のシナリオライター、田嶋久子先生。御講義は、アニメのお仕事をされた時の大変興味深いお話からスタートしました。打合せの雑談でアイデアが生まれたり、プロットの直しを重ねるごとに、キャラクターが活き活きと動き出していく様子は、まるで魔法のよう!一本の作品が出来上がる過程をしっかりと(楽しみながら)取材させていただきました。

 新人ライターには無茶な仕事がまわってくること。ドラマとアニメの現場の違い。そして苦労のすえオンエアされた時の喜び等、現場の匂いのするリアルなお話が次から次へと続き、参加者は大いに刺激をうけた様子。

 質問コーナーでは、一つ一つの問いに対して、細かく丁寧にお答えくださったことが印象的でした。そして、ありがたいアドバイスも沢山いただきました。

 「プロットはシナリオの基本。ほころびが見えたままシナリオにすると崩壊する」「まず浮かんだアイデアは、どこにでもあるもの。それをもっと考え直して、面白いストーリーにすること」「シナリオライターになるために必要なものは、作品と場数と社会人としての礼節」

 〜シナリオライターは農業ではなく林業。種を蒔いても、木になるまで何年もかかる〜そんな厳しい世界で活躍されていらっしゃる先生のお言葉には重みがあり、参加者にとっては、大きな励みになったようです。


参加された方々のお声
・現場のお話は楽しく、特に自分の売り込み方のお話は参考になりました。質問にもわかりやすくお答え頂き、ためになりました。

・大変勉強になりました。貫通行動!葛藤!変化!そして年賀状!?とか。細かいご説明、ありがとうございました。

・何を創るにも一人の力ではできない、人と人とのcommunicationから更に良いものが生まれると実感しました。豊かな感性プラス謙虚に人の意見を聴く姿勢が、良い作品を創り上げていくのだと…。田嶋先生は、上品で、熱く語られる中に誠実さがにじみ出ていて、沢山の感動をいただきました。

・知らなかったプロットの大切さがよくわかり、勉強になりました。

・もともと「ちびまる子ちゃん」のファンなので、講義内容もとてもおもしろく聞かせていただきました。直前に申し込んで参加したかいがありました。

・オフレコなお話や、実際の現場でのお話を伺うことができて、とても勉強になりました。来々週からシナリオ・センターへ毎週通いますので、とてもパワーを頂くことができ、伺って本当によかったです。

・私達の少し前を走ってるかのように話していただいて、わかりやすかったです。まずプロになる、なったときの話…私達が一番知りたいことを話してもらったと思います。

・具体的なお話、とても為になりました。プロットを真剣に書いてみようと思います。

・最後の質問や雑談がとても楽しかったです。“貫通行動”は、自分が物語を作っていて一番できていない面なので、しっかりと見直して作っていきたいと思いました。

・初めて放課後倶楽部に出席させていただきました。プロとして活躍されている田嶋先生のお話は、大変興味深いものでした。と、同時に、「プロって大変なんだぁ……」と、しみじみ感じたり……。センターに通い始めてまだ半年ですが、これからも頑張ろうと思います。

・本日のタイトル通り、シナリオライターの現場の様子がよく伺えました。プロのかたの口から直接お話があると、その苦労がよく伝わってきました。

・映画や芝居が好きというだけで、シナリオのことは全くわからずの状態ですが、プロとして活躍されている田嶋先生のお話が聞けてラッキーでした。

・私は通信で学んでいるので、「現場」という所からは、ほど遠い所にいます。田嶋先生のお話は、「現場」が目の前に展開される、と感じるほどリアルで具体的で、とても興味深く面白かったです。大きな“やる気”をいただけた気持ちです。ありがとうございました。

・ご自身の体験の中から、私達卵にとって、必要なことや聞きたいと思うことを話していただけて、すごくよかったです。「あの時よく頑張ったから『○○しておけばよかった』という思いはない!!」というセリフは、すごく心に残りました。「ウソコイ」も見てました!!なんだかご縁を感じてとても嬉しかったです。


・アニメとドラマのシナリオの違いや、プロットの書き方についてなど、詳しく聞けて良かったです。特に「あたしンち」と「ちびまる子ちゃん」は、いつも見ているので、アニメの話がどのようにして作られていくのか、プロットを通して書き方や直し方を学べてとても嬉しかったです。また機会があれば参加したいです。